2011年02月16日
第15話 神のいたずら?(2)
「僕は、つくば市です」
「え……つくばのどこ?谷田部?桜?」
「今は、旧豊里町です」
「豊里か?何年か前に仕事に行ったよ」
まさか…まさか、パキスタンのラホールで、旧豊里町の名前が出てくるとは……。
「何だっけな?? 研究所の沢山あるところ」
「研究所は沢山ありますが」
「何だっけな?とう…とう…。たしか、最初に東って書くんだ」
「まさか……まさか、東光台ですか?」
「そうだ、確か……東光台だったかな…」
「………僕、そこに住んでいます!」
まさかの、まさかだった!パキスタンで、豊里町東光台の名前が……。
(神様はいるんだ!)
仏教の俺が、初めて感じた神様は、海外での経験だった。
「ところで、何でパキスタンに……」
「仕事だよ。俺ら、とび職なんだけど、高層ビルを建てるのに、この国の技術では無理だから、簡単に言うと、技術指導だよ」
「そうなんですか?」
「あなたは何で、このホテルにいるの?」
「あ…僕は、柔道を教えに来ています。今度、アジア大会があってそのための臨時コーチとして来ているんですよ」
「へー俺らと違ってかっこいいね。でも、何で今まで同じホテルにいて、合わなかったんだろうな?」
「毎朝、何時に仕事に行っていますか?」
「ホテルを七時には出るよ。帰りは六時くらいかな」
「それですよ、それ!俺は、朝は十時から練習なので遅いし、午後は、生徒と晩飯を食べたりして帰ると、八時くらいになってしまいますから、タイミングが外れているんですよ」
「でも、今まで会わなかったっていうのが不思議だよな?」
「そうですよね。でも、すごくうれしいですよ。これからは、同じホテルに日本人がいるんですから」
「え……俺たち、明後日帰国するよ」
「はぁ??…………」
「残念だな……せっかく同県人に会えたのに。じゃあ、今晩飯でも食いに行く?」
神様の、いたずらか?一ヶ月ぶりに日本人に会い、正しい日本語を使える環境が出来たと思いきや、明後日帰国!
「すいません…僕、今からイスラマバードへ行きます!」
「え?いつ帰ってくるの?」
「明後日です!」
「じゃあ、入れ違いか!」
交互に話す二人のおじさん。せっかく日本人に会えたのに!せっかく同じホテルに一ヶ月もいたのに!たいして大きくもないホテルなのに!すれ違うことさえなかった。
やっと出会ったかと思うと、今が出会いと別れの時………わずか十分の出会い!
「神様、ありがとう!」
いたずらなのか?それとも奇跡なのか?会わないでいれば、後悔することは無かったのに!それでも俺たちを合わせた理由は何なのか?奇跡でもなく、いたずらでもなく……
「単なる意地悪だろ!」
パキスタンのラホールで、浄土真宗の信者は、空を向きながら、親鸞様に……叫んでいた!
「勘弁してくれよ」と……。
※次回、第16話は2月23日(水)更新となります。
「え……つくばのどこ?谷田部?桜?」
「今は、旧豊里町です」
「豊里か?何年か前に仕事に行ったよ」
まさか…まさか、パキスタンのラホールで、旧豊里町の名前が出てくるとは……。
「何だっけな?? 研究所の沢山あるところ」
「研究所は沢山ありますが」
「何だっけな?とう…とう…。たしか、最初に東って書くんだ」
「まさか……まさか、東光台ですか?」
「そうだ、確か……東光台だったかな…」
「………僕、そこに住んでいます!」
まさかの、まさかだった!パキスタンで、豊里町東光台の名前が……。
(神様はいるんだ!)
仏教の俺が、初めて感じた神様は、海外での経験だった。
「ところで、何でパキスタンに……」
「仕事だよ。俺ら、とび職なんだけど、高層ビルを建てるのに、この国の技術では無理だから、簡単に言うと、技術指導だよ」
「そうなんですか?」
「あなたは何で、このホテルにいるの?」
「あ…僕は、柔道を教えに来ています。今度、アジア大会があってそのための臨時コーチとして来ているんですよ」
「へー俺らと違ってかっこいいね。でも、何で今まで同じホテルにいて、合わなかったんだろうな?」
「毎朝、何時に仕事に行っていますか?」
「ホテルを七時には出るよ。帰りは六時くらいかな」
「それですよ、それ!俺は、朝は十時から練習なので遅いし、午後は、生徒と晩飯を食べたりして帰ると、八時くらいになってしまいますから、タイミングが外れているんですよ」
「でも、今まで会わなかったっていうのが不思議だよな?」
「そうですよね。でも、すごくうれしいですよ。これからは、同じホテルに日本人がいるんですから」
「え……俺たち、明後日帰国するよ」
「はぁ??…………」
「残念だな……せっかく同県人に会えたのに。じゃあ、今晩飯でも食いに行く?」
神様の、いたずらか?一ヶ月ぶりに日本人に会い、正しい日本語を使える環境が出来たと思いきや、明後日帰国!
「すいません…僕、今からイスラマバードへ行きます!」
「え?いつ帰ってくるの?」
「明後日です!」
「じゃあ、入れ違いか!」
交互に話す二人のおじさん。せっかく日本人に会えたのに!せっかく同じホテルに一ヶ月もいたのに!たいして大きくもないホテルなのに!すれ違うことさえなかった。
やっと出会ったかと思うと、今が出会いと別れの時………わずか十分の出会い!
「神様、ありがとう!」
いたずらなのか?それとも奇跡なのか?会わないでいれば、後悔することは無かったのに!それでも俺たちを合わせた理由は何なのか?奇跡でもなく、いたずらでもなく……
「単なる意地悪だろ!」
パキスタンのラホールで、浄土真宗の信者は、空を向きながら、親鸞様に……叫んでいた!
「勘弁してくれよ」と……。
※次回、第16話は2月23日(水)更新となります。