2011年05月04日

第24話 砂漠の国での幻想

 そして、何時間が過ぎたのだろう。窓から差し込む灼熱の太陽の光り。時計を見ると、午前9時。もう既に、外の気温は30度を超えているだろう。ベッドから起きようと思うものの、起きることが出来ない。頭が痛い!酒を飲んだ後の、特有の倦怠感!これも、至福の時の副産物だと思い、倦怠感は倦怠感なりに、楽しんでいた。

 だが、練習時間は刻々と迫っていた。早く起きて、用意をしなくてはならない。俺は、義務感から立ち上がると、二日酔いの頭を抱えながら、着替えた。たかが、ビール三本。日本であれば、この程度で酔うことなどまずない。ましてや、二日酔いなどありえない。さすがに、一ヶ月もアルコールを抜くと、こんな状態に……。

 重たい頭を傾けながら、様々なことを考え、テーブルの上にあるビール瓶を見つめていた。ボーとする大脳。はっきりしない、意識。瓶を見つめる目も、焦点が合わなかった。だが…だが……焦点の合わない目が、ハイネケンビールの瓶に違和感を覚えていた。瓶に印刷されている違和感のある文字。違和感であれば良いが、もし、その文字が意味する言葉が、本当であれば、不快感さえ感じる、内容の文字。

「まさか?そんなことは、あるはずがない!」
 
 現に、俺の体は今、その影響で、様々な生理現象…むかつき…多少の吐き気…不快感、などなど様々な影響が出ている。しかし、しかし…俺の目に見える文字。ビール瓶には……ハイネケンのビール瓶には……。

「ノンアルコール」

 と、書かれていた!昨晩は、ビールに対する思いのあまり、そんな事など、一切気がつかなかった。

「なんだ、これは!」

 これは、シャヒットに対しての言葉ではない。昨晩は、確かに、酔っぱらっていたはずだ。今も、二日酔いのために、頭痛を感じていたはずだ!たしか、「アルコールが血液の中を」などと、完全にアルコールに……情けない!

 こういう現象は、確か、学問的に名前がついていたと思う。成分の異なる薬でも、同名の薬と医師から説明を受ければ、同じような効果をもたらす現象。なんとか現象?なんとか効果?…とにかく名前は忘れたが、ノンアルコールビールで酔い、幻想の世界に入り、二日酔いまで起こすという珍現象……。

「こんなこと、あるのか!」

 人生最大の情けなさ。誰に、見られたわけではない。演出……自分自身。自作自演……自分自身。反省……自分自身。もう、笑うしかなかった。そして、翌日。隣町のマーケットに行くと、ハイネケンビール(ノンアルコール)が、店頭に並んでいた。そして、またまた衝撃が!ビールについていた値段は一本30ルピー(約60円)。

「はぁ?!」

 つまり、十本買っても、300ルピー。俺が、シャヒットに払ったのは2000ルピー。要するにシャヒットの、純粋な利益は1700(約3400円)ルピー。

(やられた!)

 1700ルピーの儲けの上に、俺は10ドルも御礼をしていた。はっきり言って、完敗。さすがは、シャヒット!もう、恨む気すらなかった。なぜなら、シャヒットの買ってきた、ノンアルコールビールで俺は酔っ払い、まさかの、二日酔いまでになってしまったからだ……普通ではありえない。

 だが、一ヶ月もアルコールを抜いて「ビールです」と、言われると、こういう現象もあるのか……と、勉強をすると共に、反省をする気持ちに、シャヒットを恨むことはなかった。

※次回、第25話は5月11日(水)更新となります。

abc123da at 17:21コメント(0)トラックバック(0) 

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